ぜんざい公社
国民に甘味を食べさせる役所「ぜんざい公社」が発足。そのチラシを手にした男が気楽な気持ちで公社に足を踏み入れたが、中のシステムは文字通りの「お役所仕事」だった。ぜんざいを食べるには、まず受付に行って、住所・氏名・職業を申請用紙に記入。会社での役職までもが質され、係員に「平社員ですね?」と念を押される。さらに、ぜんざいを食べる健康状態にあるかどうかの診断があり、餅を焼くには火気使用の許可が必要と窓口を延々たらい回し。いやになった男が途中でリタイアしようとすると「ここで帰れば契約不履行」と脅される。さて、ようやくの思いでぜんざいにありついた男は・・・。<br/>
<br/>
明治末期に上方の桂文三が創作した「改良ぜんざい」という噺が原作。戦後になって桂文紅などの演者が手を加え、人気作になった。東京の落語界には桂小南経を経由して広まった。寿輔の口演は、小南の演出をベースに、現代の世相をうつしたギャグ・単語を加え、現代性あふれる一席になっている。また、マクラにも見られるある種の毒っ気、風刺精神がこの噺にぴったりマッチし、シニカルな笑いが横溢。大いに笑いながらも、どこかでヒヤリとさせる寿輔落語の面目躍如である。<br/>
<br/>
第17回「浜松町かもめ亭」での録音。
https://content-public.rakugo.ch/images/episode/spot_image/000/000/000/116/116_episode.main_image_large.jpg
https://rakugo.ch/play/116
2018-04-17T00:00:00+09:00