二番煎じ
冬の噺。町内の旦那衆が火事を防ぐため、火の番の夜回りをすることになった。番小屋に集まり、集まった顔ぶれを二組に分け、交代で町内の見廻りをはじめる。凍てつくような江戸の冬。金棒は冷たくて握れず、拍子木を打つのに懐から手を出すのも一苦労。「火の用心」の声も北風に震えるようだ。やがて番小屋に戻り、囲炉裏を囲む旦那衆。すると、禁じられている酒を持ってきた人がいたり、猪鍋の用意をしてきた者がいたり。役人に見つかると面倒なため、酒を土瓶に移し、煎じ薬と称してそっと宴をはじめる。猪鍋で楽しく酒を飲んでいると、番小屋の戸をたたく音がする。役人が見回りに来たのだ!一同はあわてて酒や鍋を隠し、役人を迎え入れるが・・・。
冬のネタを代表する噺である。圓橘の古風で静かな芸風がよく似合い、北風の吹く江戸の夜空が目に浮かぶような出来ばえが嬉しい。古風であることの豊かさ。前半、「火の用心〜」の声は演者ののどをたっぷり聞かせるくだり。圓橘の巧みな節回しに耳を傾けよう。後半の酒宴も、人目をはばかるという設定のため、あくまで静かに、ひっそりと酒を楽しむ。この静けさこそが「二番煎じ」のポイントである。<br/>
第十回「浜松町かもめ亭」での録音。
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https://rakugo.ch/play/127
2018-04-13T00:00:00+09:00