寿司屋水滸伝
舞台はなんてことない普通の寿司屋。この店の主人は二代目で、洋食料理の修業はしたが寿司を握ったことがない。初代が亡くなる直前に呼び戻され、店を継いだが、穴子にデミグラスソースを塗ったり、「年越し寿司」と称して煮立った蕎麦つゆに刺身を入れたりと滅茶苦茶なことばかりしているので、たった一人の職人も呆れて店を出て行ってしまう。しかたなく自らが板場に立つが、なにしろ経験がない。客にトロを注文されるが包丁を持つ手が震え、トロは叩きのようになってしまう。おまけに酢飯を切らしてチャーハンで寿司を握ったので客が怒り出す。そこへ割って入ったのが職人風のいなせな男。男がかわりにとろを切れば、これが絶品の美味さ。この男、じつはトロ切りの政とあだ名される職人であった。主人は男に懇願し、店で働いて貰うが・・・。<br/>
中国の古典小説「水滸伝」は梁山泊に集まった108人の豪傑たちを描いた物語。この落語はタイトルにもあるとおり、「水滸伝」を下敷きに、とある寿司屋に集まった職人たちの顛末を描いた柳家喬太郎自作の一席。ここに抜き読みされたのはその発端である。ただし発端以降の噺はだれも聴いたことがない。背景は現代で、ちょっとオネエっぽい寿司屋の主人が面白い。また、次々に登場する職人たちはかつての東映任侠映画の登場人物を彷彿とさせる。いずれも、くっきりとした輪郭で描かれるのが喬太郎落語の特徴である。この「寿司屋水滸伝」は2008年の大晦日に開催された「浜松町かもめ亭 大晦日スペシャル公演」で口演され、その晩の特別番組(文化放送)で放送された。随所にラジオ放送を前提とした描写、ギャグが入っているのはそのためである。<br/>
2008年12月31日開催「浜松町かもめ亭 大晦日スペシャル公演」での録音。
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https://rakugo.ch/play/131
2018-04-13T00:00:00+09:00