かつぎや
ある呉服屋さん、店の家号を「かつぎや」と言って、その名の通り主人が大の縁起担ぎ。元日の朝「さあおめでたく夜が明けた。おい定吉、店の者はどうしている?」と主人が訊ねると丁稚の定吉は「はい奥で死んだように眠っています」と不吉な答え。皆が起き出して雑煮を食べると、番頭の餅の中から釘が出てきた。番頭はとっさの機転で「餅の中からカネが出る。これはカネモチになるということでしょう」と言うので主人は喜ぶ。ところがそれを見ていた飯炊きの権助は「そうじゃあねえ。餅の中からカネが出たから、この店の財産はモチカネルだよ」などとまぜっかえす。その翌日、一月二日には、縁起の良い初夢を見られるよう「宝船」という紙を売りに来る風習があった。店にやってきた宝船売りは縁起の良い言葉を並べるので主人は大喜びで祝儀をあげる。やがて宝船売りは、この店に七福神がいると言い出して・・・。<br/>
「浜松町かもめ亭」第一回公演、開口一番(トップバッター)の録音である。新しい落語会の船出にふさわしく、おめでたい一席。ギャグがたくさん入っているので楽しめるだけでなく、商家の正月、店の中の人間関係、年始回りの風習、宝船売りのスケッチなど、時代の記録としてもよくできた落語である。演者の立川談修は談志門下の若手のうちでも、しっかりした技術に定評があり、軽快な出来。落語の入門編としてもおすすめ。
https://content-public.rakugo.ch/images/episode/spot_image/000/000/000/139/139_episode.main_image_large.jpg
https://rakugo.ch/play/139
2018-04-12T00:00:00+09:00