権助魚
収録当時は三遊亭きつつき<br><br>商家のおかみさんが飯炊きの権助を呼び出して訊ねごと。「近ごろ、旦那の様子がおかしい。よそに若い女でも出来たんじゃないかと思っているんだが、お前なにか知らないかい?」権助は何も知らないと言い張るが、おかみさんに一円の小遣いを握らされ「旦那のお供をして、相手の女がどこの誰だか教えておくれ」という頼みを聞くことになる。ほどなくして、旦那が所用で出かけるという。おかみさんは無理やり権助を供に付ける。カンの良い旦那は権助に「幾ら貰ったんだ?」とかまをかけ、二円の小遣いをやると「家に帰って”旦那は日本橋の丸安さんと一緒に柳橋から船遊び。網打ちをしたあと、興がのって、そのまま湯河原へ遊びに行ったので今日はお帰りがありません”と報告しろ」と命じる。そして、網打ちをした証拠に、魚屋で網取り魚を買っておかみさんに見せろと言う。旦那の命をうけた権助はその足で魚屋へ・・・。<br/>
落語には飯炊き(使用人)の権助が活躍する噺がいくつかある。「権助提灯」「権助芝居」などと並んで、よくできた人気作がこの噺。旦那とおかみさんはお互いの考えを先回りした”心理戦”を繰り広げている。その間にはさまったのが田舎出の木訥な権助。双方から小遣いを握らされた挙げ句、無自覚に事態を混乱させてしまう権助の行動が笑いを誘う。きつつきの口演には自然なふら(おかしみ)があり、権助と魚屋のやりとりなどはとくに好調。大詰め、持ち帰った魚の来歴を苦し紛れに並べるあたりにも独自の工夫があって楽しい。二つ目らしく、明るくからりとした仕上がりの「権助魚」である。<br/>
第34回「浜松町かもめ亭〜二つ目祭り」での録音。
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https://rakugo.ch/play/141
2018-04-15T00:00:00+09:00