柳田格之進
彦根藩主、井伊掃部頭(いいかもんのかみ)の家臣であった柳田格之進は清廉潔白な性格を煙たがるやからの讒言によって扶持を失い、いまは浪々の身の上。浅草に一人娘のきぬと一緒に細い暮らしをしている。気落ちする格之進の心身を心配したきぬは、気散じに近所の碁会所にでも出かけたらどうかと勧める。もとより囲碁好きの格之進、久しぶりの対局で少しは気も晴れ、たびたび碁会所に足を運ぶように。そこで知りあったのが浅草で大きな質屋を営む萬屋源兵衛。腕前も同じくらい、人柄の性も合う二人は意気投合し、すぐに親しい間柄に。そのうち、碁会所ではなく、萬屋宅で対局をするようになった。夏のこと。屋敷の離れで存分に手合わせをする二人であったが・・・。
「柳田格之進」という演題のほか「柳田の堪忍袋」、「碁盤割」などの題で知られる人情噺。古今亭志ん生が演じ、その子息、十代目金原亭馬生、古今亭志ん朝も持ちネタにしていた。いわば古今亭のお家芸。ただし、馬生門下で馬石の師匠、五街道雲助は演じていないとマクラにあり、馬石は「隔世継承」したということになる。旧来の方では、格之進が五十両紛失の嫌疑をかけられ、身に覚えは無いが、急いで金を算段するため、娘のきぬが吉原に身を売るという展開になる。馬石は独自にこれを改訂し、今回の演出で高座にかけている。この会は林家しん平監督作品の映画「落語物語」の完成を祝った企画公演であった。映画ゆかりの出演者が高座を勤め、馬石も撮影の楽屋話をマクラで聴かせる。映画のためにネタ卸しした「柳田格之進」だというが、じつに立派な出来映えで、瓢箪から駒の成果と言えよう。
https://content-public.rakugo.ch/images/episode/spot_image/000/000/000/177/177_episode.main_image_large.jpg
https://rakugo.ch/play/177
2018-05-09T12:00:00+09:00